引越しにおける衣類の梱包作業は、時間と手間を非常に要する作業の一つです。
クローゼットにかけられた衣服を一枚ずつ取り出し、畳んで箱に入れるこの作業は、労力だけでなく時間も大きく消費します。
衣服をハンガーごとスムーズに移動させたいと考える人は多いはずです。 そこで大いに役立つのが「ハンガーボックス」と呼ばれる引越しグッズです。
このボックスを使用すれば、ハンガーに掛けた状態のまま衣類を新居へ運ぶことが可能になります。
この記事では、ハンガーボックスの選び方や効果的な使用法、返却時の注意点について、より詳しくご案内します。
引越し時に役立つハンガーボックスのサイズガイド
引越しをする際に便利なハンガーボックスのサイズに関する説明です。
ここでは、主な引越し業者が提供するハンガーボックスの大きさと、それらがどれくらいの衣類を収納できるかの概要をご紹介します。
各引越し業者が提供するハンガーボックスの寸法と収容量は以下のとおりです。
- アート引越センター：幅496mm×奥行555mm×高さ977mm
- ハート引越センター：幅480mm×奥行740mm×高さ1000mm
- サカイ引越センター：スーツ7着、ワイシャツ15着の収容可能
- アリさんマークの引越社：サイズの公開なし
- アーク引越センター：衣類約10着収納可能
これらのハンガーボックスは通常、約10着の衣類や長いコートなどを収納するのに適しています。
ほとんどのボックスは幅が約500mmで設計されており、自宅のハンガーラックでこの幅を測り、その範囲に合う衣類をボックスひとつにまとめることが可能です。
ハンガーボックスは主にダンボール製で、衣類を吊るすためのパイプが付いていますが、プラスチック製を採用している業者も存在します。
これらのボックスは再利用されるため、時には使用感のあるものが提供されることがあります。
通常、これらのボックスは無料での貸し出しですが、貸し出し数には限りがあり、多くの衣類を収納する場合には追加料金がかかることもあるので、この点には注意が必要です。
ハンガーボックスのメリットと活用シーン
ダンボールだけで衣類を梱包する方法もありますが、ハンガーボックスにはそれだけでは得られない特別なメリットがあり、特定の状況下でその価値が際立ちます。
ここでは、ハンガーボックスを使うことの利点と、それが最も役立つシチュエーションについてご紹介します。
ハンガーボックスを使用することの大きな利点は次の2点です。
- 衣類にシワがつきにくい
- 衣類をハンガーラックから直接移動できる
これらの利点から、ハンガーボックスはシワが気になる衣類、例えばスーツやドレスシャツ、おしゃれなファッションアイテムの運搬に適しています。
通常のダンボール箱に入れるとシワができてしまい、到着後にアイロンがけが必要になることがありますが、ハンガーボックスを使用するとその手間を省くことができます。
加えて、引越しの準備作業も大幅に楽になります。
ウォークインクローゼットなどのハンガーラックにかけられた衣類をハンガーボックスに直接移せば、梱包がすぐに完了し、約10着の衣類を数分でパックすることが可能です。
さらに、開封時も同様に簡単で、一部の引越しサービスでは新居のクローゼットへの衣類移動まで手伝ってくれることもあります。
ハンガーボックスは、移動時に非常に役立つアイテムですが、提供される数量に限りがあるため、すべての衣服をこの方法で運べるわけではありません。
主に、折り畳むと形が崩れやすい、またはダンボール箱への収納が適さない衣類を運ぶのに適しています。
ハンガーボックスを使用するのに最適な衣類は以下の通りです。
- ビジネススーツ
- 礼服
- ドレスシャツ
- 厚手の冬物コート
- ワンピース
- イブニングドレス
これらの衣類は、シワが付きやすい薄手の素材でできているか、折りたたんでもかさばるため、ハンガーボックスでの運搬がおすすめです。
一方、Tシャツやスウェット、セーター、スポーツウェアなどは折りたたむと小さく収納でき、シワにもなりにくいため、普通のダンボール箱での梱包が向いています。
引越し時のハンガーボックス取得と返却について
引越しの際にハンガーボックスをどのように入手し、どのように返却するかについて解説します。
ハンガーボックスは引越しサービスを利用する際に借りることもできますし、自分で購入することも可能ですが、すべての引越し業者がこれを提供しているわけではありません。
ここでは、自分でハンガーボックスを手に入れる方法に焦点を当てて説明します。
ハンガーボックスを入手する主な方法は、次の2つです。
- 引越し業者から無料で借りる方法
- オンラインショップで購入する方法
費用を抑えてハンガーボックスを利用したい場合、引越し業者が無料で貸し出すハンガーボックスが便利ですが、後で返却する必要があります。
返却の手間を避けたい場合は、オンラインでの購入が一つの選択肢となります。 Amazonや楽天市場などのオンラインショップでもハンガーボックスは販売されています。
購入すると、返却する必要がなく、引越しが終わった後も使用を続けることができます。 ただし、購入する際には価格だけでなく、品質もしっかりと確認することが大切です。
ハンガーボックスの多くはダンボール製であり、価格と品質は密接に関連しています。安価なハンガーボックスは、運搬中に破損する可能性もあるため、購入前にはレビューや評価をしっかりとチェックしましょう。
引越し業者から借りたハンガーボックスは、基本的に引越し当日に返却することになります。
業者は運び入れたハンガーボックスから衣類を新居のクローゼットやハンガーラックへ移動させた後、空のボックスを回収します。
しかし、業者によっては、ダンボールと同じように後日回収してくれる場合もあります。
回収日については引越し業者によって対応が異なるので、もし希望する回収日がある場合は、事前に相談する必要があります。
引越しでのハンガーボックス活用時の注意点
引越しにおいてハンガーボックスを使用するメリットは多いものの、実際に活用する際にはいくつかの注意すべきポイントがあります。
特に、衣類の移動作業、ハンガーボックス内への詰め込みに関する点が重要です。
ここでは、それぞれのポイントを具体的にご紹介します。
ハンガーボックスとハンガーラックを使用しての衣類の移動は、引越し業者に依頼することも可能ですが、できる限り自分で行うことを推奨します。
特に、衣類を保護するカバーがなければ、移動中に衣類が汚れる恐れがあります。
重要な点として、引越し作業員は作業中に汗をかくことが多く、その作業着には汚れが付着していることもあります。
このような状態で白いシャツなどを扱うと、衣類が汚れてしまう可能性が高まります。
ハンガーボックスの利用目的は引越し作業の負担を減らすことにありますが、移動後に衣類をクリーニングに出さなければならない状況になれば、その目的は達成できていません。
ですから、衣類をハンガーボックスに収納し、取り出す作業は自分で行うべきです。
ハンガーボックス内への衣類の詰め込み過ぎも避けるべきです。
衣類をハンガーボックスに過剰に詰め込むと、運搬中にボックスが破損するリスクが高まり、衣類に不必要なシワが生じる原因となります。
また、引越し業者が提供するハンガーボックスは再利用されるものが多いため、内部に前回の使用からの汚れが残っていることもあります。
衣類を過剰に詰め込むと、これらの汚れに衣類が触れる機会が増え、衣類が汚れる恐れがあります。
スペースを有効利用したい気持ちもわかりますが、ハンガーボックス内で衣類に十分な空間を確保することが大切です。
余裕を持って衣類を吊るすことで、運搬中のリスクを最小限に抑え、衣類を清潔に保持できます。
さいごに
ハンガーボックスを使えば、衣類を畳むことなくそのまま新居へ運び、衣類の移動だけで引越しの準備を完了させることができます。
これは、ビジネススーツやフォーマルドレス、おしゃれな衣類を多く持つ人にとって、引越し時には欠かせないアイテムです。
ただし、引越し業者が無料で提供するハンガーボックスの数には限りがあり、多数利用する場合は追加料金がかかる可能性があるため、注意が必要です。
また、衣類を清潔に運ぶためには、自分で衣類をハンガーボックスへ移動させるのが最適です。
その際には、ハンガーボックス内で衣類が圧迫されないよう、適切な量を入れ、十分なスペースを確保して吊るすことが大切です。
引越し時の衣類のたたみ方や箱詰めのコツ、効率的な整理方法や処分方法についても紹介
